GTX1080TiのVR性能をhtc VIVE 内部解像度2.0で試す

VR対応を謳ったメーカー製の小型ゲーミングPCやノートPCはルームスケールVRと相性が良いが、拡張性に乏しく、進化の早いGPUの前では製品寿命も短い。だがITX対応の自作PCであれば、予算と目的に応じた構成で組め、CPUとGPUの進化に併せてパーツを交換しながらスペックアップが可能になる。

そこで今回はVR用のコンパクト自作PCのGPUを最新のハイエンドビデオカード「GTX1080TI 」のFE版に換装した。「GTX1080TI」は内部解像度2.0に耐えうるのだろうか。

コンパクトな自作PCでリビングにルームスケールを確保

ルームスケールに対応したhtc vive対応のゲームは、部屋の面積によって快適性が変わる。確保できる面積はビデオボードの性能と同じくらい重要な要素だ。日本の住居環境でもリビングであればローテーブルなどの簡単な移動で確保し易い。

しかし無骨なタワー型PCをリビングに設置するのは違和感が大きい。そこでhtc VIVE発売となった昨年は必要に応じて移動が容易な、リビングに置けるコンパクトな自作VRパソコンを組んで空間を確保した。

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進化するGPUと発売が近いVR初の本格AAA級ゲーム

だがGPUの進化は目まぐるしい。当時のハイエンドGPUはミドルレンジクラスに降格している。今年はhtc VIVE専用と発表されている「Fallout4 VR」のリリースも迫っており、本格的なルームスケールVRゲームが期待できる。このVR初といえるAAA級大作ゲームソフトは是非、高品質・快適な環境で堪能したいところだ。

そこでグラフィックボードを「Geforce GTX1080Ti Founders Edition」に変更し、今後発売される最新SteamVRゲームでも快適に遊べるPC環境に移行した。今回は実際のVRゲーム上でのGTX1080Tiのパフォーマンス詳細を事例として記しておく。

MSI Geforce GTX1080 TI Founders Edition

VRの処理の中枢を担うビデオボードには「MSI GTX1080Ti Founders Edition」をチョイス。オリジナルファン版のGTX1080Tiではなく、Founders Edition版を選択したのは利用している「Metis」に組み込むことができ、外排気仕様だからだ。

FE版なので各メーカーのオリジナルファンOCモデルや水冷モデルであれば、ここの結果より少し上ブレすると思われる。

MSI GeForce GTX 1080 Ti Founders Edition(Amazon)

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組み立て詳細・各種ベンチマーク・デスクトップ構成との性能比較

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一応コンパクトPCながらもデスクトップPC構成と同等の性能を発揮している事を確認した上でチェックしている。

内部解像度「2.0」の常用に迫れるか?GTX1080TIのゲーム・VR性能

ゲーム系のベンチは各所で語られている通りだが、確認程度に記載しておく。今回はVR系のベンチマークスコアと、スコアでは分からない実際のVRゲームプレイ中の挙動を中心に見ていく

高負荷で伸びる最新ゲームベンチスコア

3DMARKの「TimeSpy」の様な高負荷なベンチマークでは相応にスコアが伸びる。GTX1080と比較しても性能差を確認できる。負荷の高いVRアプリケーションでの性能アップが期待できる。

*CPUはあと1世代くらいはOCで6700Kでも粘れそうな気配はある。

旧ゲームベンチマークのフルHDではスコアが飽和気味に

PS3時代のマルチタイトルをターゲットにしたDirectX11世代のベンチマークのFire Stike。グラフィック部分のスコアが「28,486」と30,000に迫りつつあり、そろそろ飽和しそうだ。GTX1080からも相応の伸びを見せているが、実際のFullHDゲーム環境においてGTX1070以上では分からない差だろう。

古いFF14ベンチはスコアの飽和傾向が顕著だ。フルHDではCPUのシングルスレッド性能の影響が多く、GPUの影響力が相対的に低くなっている。FFベンチのフルHDはハイエンドクラスではゲーミング性能の指標にはならない様だ。

VR系ベンチマーク

SteamVR Performance TestはGTX1070以降は忠実度の値は「11」でカンストしており、ベンチマークスコアとしては飽和気味だ。GTX1080TIも全て天辺に張り付いる。

「テストされたフレーム」は忠実度が11未満の場合は9000前後で収まるが、忠実度が「11」以上になると、値が伸びる傾向がある。GTX1080TIは90FPSをターゲットとしたテストで200FPS以上で安定しており、「テストされたフレーム」も20569と2万を超えた値に達している。

この「テストされたフレーム」が伸びはじめるGTX1070以上のスコアを比べると、GTX1080TIは性能相応の伸び率を示している。GTX1080TIのSteamVR上での性能にも期待できそうだ。

SteamVR パフォーマンステストの「テストされたフレーム」の値は高負荷VRベンチマーク「VRMark」の「BlueRoom」と同じ様な傾向を示している。GTX1070以上のGPUを図る際の一定の目安にはなるかもしれない。

なお、「OrangeRoom」の方はスコアが飽和しており、GTX1070以上ではスコアに大きな変化がなくなっている。VRベンチマークとしての役割は早くも終えたようだ。

各GPUの性能目安

GTX1080tiとのVR性能の比較計測には「AMD Radeon R9 NANO」を用いている。「R9 nano」はNVIDIAのGTX10XXシリーズ発売以降はスコア的にはミドルレンジに位置しているGPUだ。

「R9 nano」はHBMメモリを搭載しておりDirectX12や高解像度・高負荷環境では、ベンチマークのスコア以上に有利に働くといった感じで、ゲームや用途によってはGTX980を上回る底力を見せる。

主なSteamVRレディGPUの一般的なゲーム性能比較は以下のとおり。各ゲームでNVIDA最適化優先かAMD優先かで若干の前後はあるが、R9 nano以外のGPUとの比較参考程度にはなりそうだ。

フレームタイミングで比較計測

計測にはSteamVRのフレームタイミング表示機能を利用する。VRにおいて必要な秒間90フレームの描画を維持するにはCPUとGPUの処理が11ms以内に完了しておく必要がある。

表の見方を簡単に示すと以下のとおり。常時11msを超えた状態になるとグラフが赤枠で囲まれ、45フレーム固定表示になっていると分かる。なお、GPUの処理が間に合わなくなると、CPUも引っ張られて間に合わなくなるので、CPUが11msオーバーした状態=CPUがボトルネックとは断定できない。

(*画像ではmm になってますがmsの誤植です。)

VRレディを謳ったGPUで内部解像度を「1.0」でStam VRのソフトをプレイすると概ね上記の様になる。恐らくGPUはGTX970~GTX980辺りを基準に開発側も最適化を行っていると思われ、標準状態でオーバーするようなタイトルは単純にソフト側の最適化不足といった所だろう。

想定外の高負荷「内部解像度 2.0」状態でのSteam VRゲーム内挙動を見てみる

測定にはhtc VIVEだけでなくPCVRユーザーの多くが体験していると思われるValve社の「The Lab」を用いる。最適化が徹底されており、高いグラフィックの品質と低負荷化の両立を実現しているSteamVRを代表するタイトルだ。軽量なため内部解像度の値も攻めやすい。

なお、比較で示すグラフはアプリケーションの内部解像度を全て「2.0」の状態で動作させたものである。デフォルト設定の「1.0」では全て11ms以内に収まっている事に留意して頂きたい。GTX1080Tiだけでなく、R9 nanoの方でも以下のとおり全編で余裕だ。

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高負荷なVRの描画負荷でテスト

今回は肝心な実際のVRゲーム上での動作を確かめて見る。通常のVRゲームの用途では負荷が軽すぎて、GTX1080Tiの性能が見えない。内部解像度を標準の「1.0」から倍の「2.0」に押し上げてGPUとCPUの処理時間を確認している。

なお、パフォーマンスチェックする際は、データ構成を見て、意図的にGPU負荷が高そうな場所を重点的にしつこく攻めた結果となっている。通常プレイの動作であれば、GTX1080Ti,R9 nano 双方が以下の各グラフより低い負荷の挙動を示す可能性が高い。

また内部解像度2.0という値は開発側でも想定外で、そもそもチェックすら行っていないイレギュラーの負荷だ。全体としてGPU性能が追いついていても、想定外の挙動でパフォーマンスが十分得れない事もあるという点にも留意する必要がある。

The lab 「ステージ選択ルーム」の負荷比較

では最初にThe Labを起動した際に各コンテンツへ移動する前のハブとなる部屋の負荷から見ていく。ここは負荷が比較的低く、それほど高スペックでないGPUでも内部解像度が攻めやすいシーンだ。


R9 nano 内部解像度2.0

低負荷のため「R9 nano」でも極端に首を振らない限りフレームドロップが発生しない。しかし負荷の高い方向を横切るように視点を素早く移動させると、頻繁にGPU処理が11msを超えて、14ms以上に達している事が確認できる。

また方向によっては赤い枠で囲まれた45FPS状態に固定表示になっている。視点を注視していると90フレームを維持しており、意図的に動作するとドロップする程度なので、じっくり観察する様な通常プレイの場合、人によっては気づかないかもしれない。


GTX1080TI 内部解像度2.0

一方GTX1080Tiの方は首を振っても素早く移動しても、殆どが6ms 以内に収まっている。R9 nanoでドロップしていたような箇所が、7ms付近まで達している事がグラフで確認できるが、90フレーム許容の11msまでは随分余裕がある状態だ。スムーズ過ぎたので設定を忘れたのかと確認したが、やはり「2.0」である。

CPUの負荷がGTX1080Tiだと下がるのは、GPUの負荷監視に応じて、各種の負荷軽減対応の処理からCPUが開放されるからだと思われる。推測だがGPUの処理タイムが一定値以下であれば処理を完全にスルーしているのではないだろうか。

タイトルによってはCPUがボトルネックになっている様に見えても、GPUを強化し余裕を持たせる事で、CPUが11msに収まるようなケースもあるかもしれない。

The Lab 「SECRET SHOP」の負荷比較

「Secret Shop」は全体として軽量な部類だが、ポイントライトを利用した動的な光源処理やリアルタイムシャドウが要所で負荷として乗ってくる。内部解像度を向上させると細かい箇所まで見える(見ようとする?)ためか、久しぶりにプレイすると新しい発見もあるコンテンツだ。ここからはGPUに絞って見ていく。


R9 nano 内部解像度2.0

一定の方向を注視する様な動作であれば、なんとか11msを維持できる。しかし負荷の高くなる特定の方向に早く首を動かしたり、意図的に負荷が重そうな箇所に動的光源とシャドウを素早く動かすと流石に厳しい。周囲を見渡す機会が多いコンテンツだけに、ドロップフレームと45フレームモードの切り替わりに気づく人は多そうだ。


GTX1080Ti 内部解像度2.0

基本的には2.0でも7~8ms前後に収まっている。しかしR9 nanoでもグラフが突き抜けているような負荷が発生する箇所ではGTX1080Tiでも、瞬間的に12msに達してドロップしている。このようなスパイクは基本的に他の要素と比較すると極端に重い「何か」が潜んでるケースが多い。

ゲーム開発でも終盤になるとスパイクを潰していく工程になるが、瞬間的な負荷増大に対しての対応は難度は低い場合が多い。原因さえ潰せば基本的に治るからだ。GTX1080tiでは「Sevret shop」の描画負荷には耐えれているが、開発側の想定していない負荷に11msからギリギリ出てしまったという評価で良いだろう。

*筆者の本VR機は作業用PCのレンダリング・ベイク分散用のPCとしても利用している。常駐型のソフトが多くインストールされている事もあり、それらの何らかの要素が働いて、瞬間落ちてる可能性もある。

SLINGSHOT

視界の開けたステージで表示されているオブジェの殆どが動的で、何もしなくても重い「SlingShot」。Staticなモデルが殆どないため、「The Lab」でも屈指の重さになっている。デフォルトだとミドルレンジで快適に動いているのが逆に凄いコンテンツだ。これを実現するために様々な最適化の工夫が詰まっているので観察してみると面白いだろう。


R9 nano 内部解像度2.0

もうずっと重い。htc VIVEも完全に諦めており、常時45フレームモードで動作中だ。GPUは常にオーバー状態だが、CPU負荷は殆ど11ms以内で安定していた。やはり内部でGPU負荷を監視し、それに応じて描画負荷を変更するためのCPU負荷は無視できるレベルではない様だ。ある意味低フレームで安定しているので、何も知らない人が体験すると気づかないかもしれない。


GTX1080Ti 内部解像度2.0

傾向としては「Secret Shop」に近い。ある特定の方向へ素早く首を降ると、そこだけスパイクが発生してしまい、フレームがドロップする感じだ。全体的には8~9ms前後に収まっており、スパイク箇所の対応を行えば90フレームで安定するパフォーマンスに収まっている。

これも想定外の挙動で11msを越える箇所が存在するが、全体としてはGTX1080Tiの処理は間に合っていると言って良いだろう。

デスクトップ機で動作確認

念のためにデスクトップで18cmのケースファン2基を全快状態で、同じ設定・同じ箇所で挙動を確認した。やはりGPU処理が全体で追いついていても特定の箇所でスパイクは再現している。

普段はある程度余裕があるため気づきにくい。現時点では、極端に高い内部解像度では瞬間的に負荷が増大する箇所があるようだ。(部屋を大きく動きながら視界を変化させると発生しやすい気がする。)

VRヘッドセットの液晶解像度が追いつかない気配があるハイエンドGPU

VRヘッドセットのパネル解像度と視野角

GTX1080Tiには「The Lab」の様な適切な最適化を行ったVRソフトであれば、「内部解像度2.0」常用も不可能ではない事が浮かび上がってきた。現時点では開発者が想定していない負荷のため、要所では11msを越えるスパイクが発生する箇所もあったが、仮に「高負荷対応パッチ」の様な代物があれば、十分90フレームで安定動作する可能性が高い。

高い解像度で高フレームを維持していると、VRヘッドセットの液晶パネル解像度が不足している点が際立ってくる。GPUに余裕があれば、視野角に回す事もでき、没入感を増すことが可能になってくるだろう。

htc VIVEのパネル解像度「1080×1200ドット2枚」から「1440×1280ドット2枚」へと若干解像度が向上するLGの新型互換VR程度のなら、GTX1080Tiで十分に対応できそうだ。高解像度・広視野角化した新世代のVRヘッドセットへの期待が膨らむ。

しかし、LGVRは開発者用のバージョンキットのリリース予定日すら決まっていない。過去のVR機器のスケジュールから逆算すると、SteamVR互換の高性能な新型VRが一般ユーザーまで手に渡るのは当分先になりそうだ。今遊べるhtc VIVEでVRを堪能しながら気長に待つ事にしよう。

2年目に入るhtc VIVEと大型VRゲーム

2016年はVRローンチ年という事もあり小粒なタイトルが多くを閉めた。しかしSteamVRにも徐々にコンソールゲーム相当のリッチなVRタイトルがリリースされつつある。開発期間を踏まえると今後は更に増えてくる可能性は高い。「バットマンアーカイムVR」のPSVRからPCVRへの展開なども動き始めてきた。

「Fallout4」や「バイオハザード」等、コンソールのノウハウと技術をもった一級の開発チームのタイトルが揃ってくる2017年は、GTX1080Tiの高いGPU性能の恩恵を受けれるタイトルも増えてくるだろう。コンシュマーVRでは体験できない、ハイエンドPCVRならではのリッチなVR体験を堪能出来るのは楽しみだ。



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