「Windows Mixed Reality ヘッドセット」 レビュー。安価で高解像度・外部センサー不要の新型VRの実力

マイクロソフト主導のMR機器「Windows Mixed Reality」対応HMDの開発者版の出荷が2017年8月28日から始まった。ヘッドセット単体で299ドル~399ドルという低価格ながらも「htc VIVE」、「Oculus Rift」を越えるパネル解像度、外部センサーを用いずにヘッドトラッキング・ルームスケールVR実現する期待のVR機器だ。

今回は、この「Windows MR」対応のヘッドセットの最安値「Acer Windows Mixed Reality Headset デベロッパーエディション」をhtc vive、Oculus Riftと比較しながらレビューしていく。この新型MRヘッドセットの実力は本物なのだろうか。

「Windows Mixed Reality」とは

Mixed Reality = 複合現実

「Windows Mixed Reality」とはMicrosoftのVRおよびAR展開のプラットフォームの様なもので、拡張現実の「AR」と仮想現実の「VR」を内包する、概念として複合現実=「MR(Mixed Reality)」と呼ばれている。

「VR」や「AR」は複合現実の「MR」の概念の一部とも言えるかもしれない。

先行して展開されていたMR機器「Hololens」

Microsoftの提唱するMR機器として、AR対応の「Hololens」が先行してリリースされていた。「Hololens」はPCを用いずに単独で動作し、40万円近い価格で一般用というより業務用製品といった性格だ。

現実の世界とデジタルが融合した体験が可能で、現時点でMicrosoftの「MR」と聞くと、こちらをイメージする人が多いのではないだろうか。

VR機器となる今回の「Windows Mixed Reality」製品群

今回、リリースされるWindows VR機器は「MR」(複合現実)と名乗っているが、実質的にはhtc VIVEやOculus Riftといった製品と同じ「VR」機器といった性質が強い様だ。

「Hololens」のように「現実世界と重ね合わせる」のではなく、基本的にはヘッドマウントディスプレイ内に描画された情報に没入して、バーチャルな体験を味わえるVR機器となっている。つまりhtc VIVEやOculus Rift、PSVRと今のところ大きな差異はない。

DELL,Lenovo,ASUS、HPなど有名PCメーカー各社からヘッドマウントディスプレイ機器がアナウンスされており、価格もHDM単体だと299ドル~399ドルと安価だ。モーションコントローラーもオプションで用意されており、これらはメーカーに依存する事なく互換性が保たれている。

スペックは各社横並びのWindows MRヘッドセット

以下が今回リリースされるWindows MRヘッドセット機器のスペック一覧。名称は「DELL Visor」,「Lenovo Explorer」、「ASUS Windows Mixed Reality Headset (HC102)」、「Acer Windows Mixed Reality Headset」となっており、各社とも重量やデザインなどに違いがあるが、スペックは横並びとなっている。

「Steam VR」の対応が発表

これまで「Windows Mixed Reality」はWindowsのアプリストアをプラットフォームとして発表されていたが、先日これらに加えて「Steam」の対応も告知された。

これにより「Oculus Rift」や「htc vive」対応としてリリースされている「Steam VR」のコンテンツが「Windows MR ヘッドセット」にも動作対応される可能性が高くなった。

Windows VR対応ソフトとして「Halo」や「マイクラ」のVRコンテンツも明らかになっており、ウィンドウズストアのアプリと「Steam VR」対応アプリを加えると対応ソフトは多くなりそうだ。

Windows MR ヘッドセットのスペック比較

今回レビューするのは「Acer Windows Mixed Reality Headset デベロッパーエディション」となる。その名の通り開発者用のバージョンだが、基本的には一般販売も同等品であるとの事。一般用は各社、10月発売がスタートとアナウンスされており、ほぼファイナルの状態に近いと見て良いだろう。

*なお「Acer Windows Mixed Reality Headset 」は一般販売版は後部ストラップが若干改良されるとの事

Oculus Rift、htc VIVE、Foveとのスペック比較

「Acer Windows Mixed Reality ヘッドセット」と 既に発売されているPCVRの「htc VIVE」、「Oculus Rift」、そして同じくDEV版がリリースされている国産VRの「FOVE」とスペックを比較してみよう。

*Windows MRの必要スペックは開発用。一般用は後述

ヘッドセットパネル

「Acer Windows Mixed Reality」のみ有機ELパネルでなく液晶を採用している。 解像度がhtc VIVEやOculus Riftと比較すると片目で1440×1440と高精細だ。

視野角・リフレッシュレート

視野角は95度とOculus Rift、htc VIVEの110度と比較すると狭い。VRの没入感を大きく左右する箇所だけに少し気になるところだ。リフレッシュレートは他のPCVRと同じ90Hz。ネイティブ解像度で描画するだけでも、90フレーム維持は負荷が高そうだ。

トラッキング方式・ルームスケール

ヘッドポジションのトラッキングはヘッドセットのフロントに内蔵されているカメラを用いている「inside-out」方式を採用。ユニークなのは、この仕組を利用して「ルームスケールVR」まで実現している点だ。外部のベースステーションやカメラを必要とせず、標準でルームスケール機能を備えているインパクトは大きい。

モーションコントローラー

モーションコントローラーはオプション扱いで、標準ではゲームコントローラーの利用が前提となっている。上記のトラッキング方式を踏まえると、カメラ外にモーションコントローラーが移動した際のトラッキング精度は気になるところだ。

重量

インカメラを2基備えてるが重量は410gと最軽量である。しかしイヤホンが一体型でないため、ヘッドホンを用いると、ここから更に増加する。HPの「HP Windows Mixed Reality Headset 開発版」は500g以上なので、各メーカーでバラツキは大きい。

価格

ヘッドセット単体だと海外では299ドル、国内で40,000円と最安値クラスだ。モーションコントローラーは100ドル前後とアナウンスされている。国内でもオプション機器という点を踏まえると10,000円程度が限界だろう。

今のところ一般販売ではコントローラー付きで450ドル程度とされている。

必要スペック

開発用の必要スペックは高かったが、一般販売に合わせて大幅に下げられている。最小要件では60フレーム前提でグラフィッククオリティも落とす事となるが、GPUはintel HD 620でCPU内蔵GPUでも動作する。内蔵GPUの数倍の性能があるローエンドdGPUの「Geforce GT 1030」や「Radeon RX 550」でVRが堪能できそうだ。

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Acer Windows Mixed Reality Headset の外観・形状特徴

パッケージ・同梱物

開発用のデベロッパーエディションというだけあって、梱包は非常にシンプルだ。茶色いデザインも殆どされてないダンボール箱に収まっている。他のPCVRと比較すると、小型な箱に収まっている。

同梱物は簡単なマニュアルセットだけだ。ケーブルもHMDに付いてるので、実質本体が一品だけと言っても良い。

マニュアルも各国語が収まっており、1国分は見開きの2ページだけに収まっている。徹底的にシンプルに徹している。

特徴的なカラー・デザイン

VR機器はブラックのイメージが強いが、「Acer Windows MR Headset」は大胆な青がベースとなっている。往年のオールドゲームファンなら「バーチャロン」の「テムジン」を連想する人も多いのではないだろうか。

最初に写真でこのデザインを見た時は「オモチャ感」が強いかも・・という印象があったが、実機を見てみると、表面の処理と相まって悪くない。汚れが黒より目立ちにくい点もポイントが高い。

バンド部分は少し安っぽいイメージが強いかもしれない。取り替える事が可能な構造であれば良いのだが、見る限りは固定されている様だ。

カメラ・レンズパネル

フロントは2基のポジショントラッキングカメラが特徴的だ。他のVRヘッドセットと違う印象を与える。カメラは両側に開いた位置に備えられている。

レンズはフレネルレンズ構造となっている。レンズの大きさが「htc VIVE」一回り小さい。面積的には70~80%程度といったところだろうか。

左:Acer Windows Mixed Reality Headset 右:htc VIVE

バンド・装着・調整構造

ヘッドセットと頭の固定はバンド構造を採用している。青のスイッチを押し込む事で解除され、長さが調整できる。ベルトのように締めるイメージだ。

広げると後方に固定部分が来る。構造的には被りながら調整できるが、htc VIVEのデラックスオーディオストラップのトルク調整方式を知ってしまうと、少し面倒に感じる。

なお、一般販売版ではストラップ部分は以下のようにダイヤル式に改良されるようだ

HMDを被ったまま手元の視界を確保

ディスプレイ部分だけ上下に開閉する事で、HMDを被ったまま視界をクリアーにできる。この仕様は「Windows MR Headset」対応機器共通の様だ。

UnityなどでVR開発中に活躍しそうなフリップアップ構造だが、筆者の装着方法が不味いのか、余り上手くいかない。前方を見ようとしても、HMDが重力に負けて下がってしまう。今のところは手元を見るだけの補助的な利用に留まっている。

フェイスクッション

フェイスクッションはおなじみのスポンジ製だ。マジックテープになっており、汚れたら取り替える事が出来る。コスト削減を狙ってか、鼻元の遮光もフェイスクッションが担う構造になっている。

レンズが小さい事もあってか、左のhtc vive製のフェイスクッションと比べると随分薄い。

試しにhtc VIVEに合わせて作ったフェイスクッションを流用してみた所、一応装着できた。ジャストフィットというわけではないので互換性はないと見たほうがよさそうだ。

ケーブル接続・長さ

サウンド関連のイヤホンはヘッドホンのピンジャックを用いる。サウンドはスピーカーだけねなくマイクにも対応している。この辺はhtc VIVEと変わらない。

 PCとの接続はHDMI 2.0ケーブルとUSB3.0ケーブルを用いて行う。この2本だけで完結するので、PCVRの中ではシンプルな方だ。電源もUSBから拾っている。

ケーブルの長さは4m。VIVEの5mより1m短いがルームスケールも十分可能な長さを保っている。VIVEの3in1ケーブルとほぼ同等か少し小さい程度の半径だ。

現在、ハンドトラッキングは未だ発売されていない。全てのモデルにハンドトラッキングが同梱されるわけではないので、基本的にはゲームコントローラーの操作を前提に設計されている。

Windowsへの導入・動作設定

Windows10のCreators Updateを行った状態で開発モードをオンにすると、「複合現実」が有効になる。USBとHDMIを接続するだけで自動的に「複合現実ポーダブル」が起動する。この高い利便性はOSメーカーのMicrosoftの強みだ。

 初回は初期設定は起動する。身長を入力することで床からヘッドセットまでの距離を求める。全体的にOculus Riftの初期設定とイメージが近い。

ルームスケール設定はハンドトラッキングではなくヘッドマウントディスプレイを持ち歩いて定義する。

セットアップは現時点で「htc VIVE」>「Windows MR」>「Oculus Rift」の順で行いやすい。Windows Mixed Realityは外部機器を用いずに設定できるので、機材のセットアップは最も簡単だ。

カメラの位置にルームスケール範囲が強く限定される「Oculus Rift」と違い、ケーブルが届く半径4mであれば自由に設定できるので、汎用性は高い。

実際に「Windows Mixed Reality」の動作させてみる

チュートリアル演出

初期設定が完了すると「複合現実ポーダブル」の基本操作チュートリアルが始まる。Oculus Riftタッチやhtc VIVEのチュートリアルはキャラクターや演出を用いてゲームの様に楽しませてくれたが、こちらは至って事務的だ。(Microsoftらしいのかもしれないが)

ルームスケールの境界に関しての説明が行われる。境界に近づくと「壁」が表示される辺りは他のPCVR機器と変わりはない。

移動はデフォルトではゲームコントローラーを用いる。コントローラーのYボタンでワープ動作を発動→ヘッドトラッキングを用いてワープ先を指定するVRではおなじみの操作方法だ。

複合現実ポータル

チュートリアルが完了すると「複合現実ポータル」のホームエリアに居る。htc VIVEやOculus Riftでも存在するホーム画面とイメージが近い。

ワープポイントによる移動では室内に移動エリアが限られるが、ゲームコントローラーのスティックを用いても移動が可能になっている。この場合は室外から20m程度まで移動可能だ。

このホーム画面でストアからゲームを購入したり、ゲームを起動したりできる様だ。まだ開発者版という事でVRアプリへの導線はないが、一般販売が始まれば充実する事に期待したい。

標準でブラウザや動画の再生サポート等も備えている。基本的にはWindowsのストアアプリの範囲で扱える。

ちなみにVRヘッドセットを終了しても被るだけで、複合現実ポータブルが起動する。

画質やトラッキングの性能比較

299ドル(国内税込み4万円)と安価なVR機器となる「Acer Windows Mixed Reality Headset」。画質やトラッキング性能はどの程度だろうか。ここからはVR機器としての性能をOculus Riftやhtc VIVE、FOVEのPCVRと比較していく。

ヘッドディスプレイパネルの品質

ヘッドマウントディスプレイの液晶解像度は「1440×1440ドット」の2枚と現在発売されているPCVRの中では最もスペックが高い。

ただしフレネルレンズを用いてる限界なのか、htc VIVEやOculus Riftと比較して見違える程の変化は感じない。言われてみれば、綺麗かなといった程度だ。周辺部のボケみは強く感じる。

自作コンテンツで精細感や残像感を比較

試しに、自分でテスト制作した同じアセットで比較してみたが、比べると確かに精細感は「Acer Windows Mixed Reality Headset」が最も高く感じる。htc VIVEやOculus Riftでは見えなかったノーマルマップのディティールやPBRの微妙なニュアンスまで拾ってくれている様に思える。

しかし、決定的な品質差というレベルではない。今後、SteamVR対応後に大量の同アプリケーションで比較すれば差が出るかもしれないが、現時点では「即座に買い換える程の違いは感じない」と言ったところだろうか。網目感はOculus Riftと同程度か少し控えめだ。

残像感や暗部の表現などは、もう少し使いこんでみないと断定できないが、Unityで自分で制作したシューティングゲームのプロトタイプを遊んでみたところ、現時点では大きな違和感は感じていない。敵機や隕石などが高速で飛行し、それを迎撃するコンテンツだが、htc VIVEやOculus Riftと較べても普通にプレイできた。

残像感に関しては、モーションコントローラーを用いるような大きな動きが必要なコンテンツで、どの程度の影響下あるか等、環境が揃い次第、あらためて追試検証していきたい。

視野角は狭い

htc VIVEやOculus Riftが110度という視野角と比較すると、「Acer Windows Mixed Reality Headset」は95度と15度も狭い。実際、装着して直ぐに気づいた点が「視野角が狭い」といった感想だった。

周囲のコンテンツを見渡す際は特に気になる。「視野角115度」のhtc VIVEでも「視野角はもう少し必要かな」といった感があるので、「視野角95度」は狭い。精細感の違いはパネル解像度 数百ドット程度では差は気づきにくいが、視野角は15度かわるとハッキリ知覚できてしまう。

没入感というVRの重要な要素だけに、この辺はhtc VIVE、Oculus Riftが明確に勝っていると言える。物理的にパネルが小さいという点も影響が大きそうだ。

トラッキング性能は想像以上

外部センサーを用いずに内部カメラだけでポジショントラッキングを実現しているWindows VR。想像以上に精度は維持できており、普通にコンテンツを観覧する程度なら殆ど違和感はない。頭を素早く大きく動かしたり、物体を接写しながら移動すると、時折違和感を感じるが許容範囲だ。

部屋を移動するような動き方をすると、頻繁にヘッドマウントディスプレイと現実との「ズレ」を感じるが、インカメラの性能なのかCPUの処理が追いついていないのか判別は未だついていない。しかし、外部センサーなしで、この品質でトラッキングに出来るなら十分と思える。

操作性・快適性

現時点ではハンドトラッキングがないため、操作性はhtc VIVEやOculus Rift(タッチ付き)と比較すると数段落ちる。マウス操作を前提としているオペレーション部分はかなり無理がある。

コントローラー、ヘッドホンが優先の場合は初期のhtc VIVE以上の「ケーブル地獄」となる。体験的には一世代前のVRといったところで、オプションのモーショントラッキングは必須になりそうだ。

開閉式のバイザー構造は今のところ、余り役に立っていない。ただし軽量なのでズラすのも簡単で、コンテンツ中も快適だ。VR開発時の快適性は軽量性も相まって最も高い。

最近はオーディオストラップ+htc VIVEという重量級VRをメインで利用していただけに、軽量化による快適性は一番強く感じた。やはり重量が軽いという事は正義のようで、ヘッドセットの軽量化はVRの普及に大きく影響を及ぼしそうだ。

開発環境

現在はデベロッパーエディションという事もあり、まだドキュメントが未整備であったりするが、基本的には「Windows Mixed Reality Headset」をUnityなどの開発環境で動作させる事は簡単だ。

OSやUnityやVisual Stuido、SDKなどを対応したバージョンに合わせる必要があるが、現時点で揃っており、htc VIVEやOculus Riftで既にVRを開発した経験があれば難しい事はないレベルとなっている。

実際に、htc VIVE、Oculus Rift、FOVEで動作するVRコンテンツを 「Windows Mixed Reality」に移植してみたが、「Acer Windows Mixed Reality Headset デベロッパーエディション」が到着したその日の内に移植作業が完了した。

現時点では凝った事をしようとすると、自前で用意するモジュールが多くなるが、「Steam VR」に対応されるのであれば、プラグインで吸収されるので問題もない。移植の容易さを踏まえると「Windows Mixed Reality」のコンテンツが不足する心配はなさそうである。

あとはモーションコントローラーの精度次第といったところだ。ViveやOculus Riftと遜色がなければ、多くのVRソフトが移植されるだろう。

「Acer Windows Mixed Reality Headset デベロッパーエディション」比較まとめ

一通り、「Acer Windows Mixed Reality Headset デベロッパーエディション」の性能を見てきた。以下が各VRとの比較をまとめた表となっている。計測機器を用いて正確に検証してみたわけではないので、あくまで筆者の主観だ。人によって評価は変わるだろう。

HDMパネル精細感

解像度が高い「Acer Windows Mixed Reality Headset 」がトップとなっているが、VRヘッドセット全体的に未だまだ発展途上で大きな差は感じない。パネル解像度以上にレンズの特性で中央以外が強くボケてしまう方が気になる。

また現時点ではネイティブ以前の内部解像度の支配力が上回るケースも多い。HMDパネルの性能が高くてもGPU性能が低い場合は、それを活かす事が出来ない。

満足する品質を得るには、ネイティブで片目4Kクラスを実現するまでテクノロジーの進化を待つ必要があるのかもしれない。

没入感・トラッキング性能

・視野角

没入感は視野角やトラッキング性能が締める割合が高い様に思える。視野角に関しては、htc VIVEでもまだ「ゴーグルを覗いてる感」が強いので、「110度」では不足している様だ。これより狭いWindows MRの「95度」では全く足りない印象。

視野角という点においては、現状の「Windows MR Headset 」機器は大きいな課題を抱えている様だ。

・トラッキング

「FOVE」はヘッドセットのポジショントラッキングに関して安定性が水準に達していなく実用性で厳しい。トラッキングが安定しない場合は、没入感は一気に削がれるため、VR機器において「安定したトラッキング」は最重要項目だ。

その点「Windows Mixed Reality Headset 」はインサイド方式のセンサーながらも、最低限の必要品質は満たしているように思える。

トラッキングという面ではhtc VIVEは最初からほぼ完璧に近い品質で提供している点は凄い。(SteamVR規格をコントロールしているValveが凄いのかもしれないが)一度セッティングすれば、どのような状態・場所でも違和感なく追随する性能は一段飛び抜けていると感じる。

モーションコントローラー性能

モーショントラッキングに関しての評価は保留だ。仕組み的にカメラ外に入ると厳しそうだが、実際に触ってみないと違和感がどの程度発生するか分からない。

トラッキングロスに対して開発側で工夫が必要なのであれば、現状のVRゲームの市場状況を踏まえると厳しくなりそうだ。形状はVIVEコントローラーに近いが、キーアサインの変更程度で済まない可能性が残っている。

装着・快適性

「Acer Windows Mixed Reality Headset 」は軽量性という点では圧倒的だ。VRヘッドセットにおいて、重量のバランスも重要だが、それ以上に「軽い」という点は大きな影響力があるという事を改めて実感できる。

しかしサウンドが外部イヤホンに依存するため、その優位性を打ち消している。VRを体験する度にヘッドセットをセッティングする事は面倒すぎるので、標準で内蔵するかオプション扱いで設置出来るようにして欲しいところだ。

日本語対応

・Windows Mixed Reality Headset

「Windows Mixed Reality Headset」は基本的にはWindowsなので日本語で操作できる。販売ハードメーカーも国内展開を行っているDELL,ASUS、HP、Acerなので、一般向け販売時には購入からサポートまで日本語で済ます事ができる様になると思われる。

開発方面はまだ英語ドキュメントメインとなるが、いずれ日本語の情報も揃ってくるだろう。

・htc vive

htc VIVEはハードを販売しているhtcも日本国内で展開されており、SteamVRも日本語に対応されているため、プラットフォームの操作やサポート・購入全てが日本語で済ませる事ができる。ただし、現時点ではゲームソフトの方がビジネス的に日本語対応されている作品が少ない状況だ。日本ユーザーがVRソフトを購入する習慣が定着すれば状況も変わるかもしれない。

・Oculus Rift

Oculus Riftは公式サイトとサポートは一応日本語対応しているが、一般国内販売は行われていない。ユーザーが自力で輸入購入するような感じだ。セットアップも日本語非対応で、普段から英語だけでゲームを遊んでいる様なヘビーユーザー向けに留まっている。Steam VRの方は勿論日本語で操作可能だ。

コストパフォーマンス・価格

「Acer Windows Mixed Reality Headset デベロッパーエディション」は海外では299ドル。国内では税込み40,000円と本格的なPCVRでは最安値クラスだ。モーションコントローラーを合わせても50,000円前後に収まる。

Oculus Riftがモーションコントローラーセットで税込み50,000円という破格セールを行っているため、現時点では価格面で大きなインパクがない。しかし「Windows Mixed Reality Headset」は一般製品版で必要GPU要件も大幅に下がる。システム一式という視点でみた場合はギリギリ最安値に収まる。

htc VIVEは必要スペックも高いため、VRセットに加えてシステム全体のコストも上がってしまう。現時点での最高のVR体験を求めるならハイレンジGPU+「htc VIVE」+オーディストラップ。コスパ重視ならミドルクラスGPU+「Oculus Rift」か「Windows Mixed Reality Headset」といったところだろうか。

「Windows Mixed Reality」現時点のまとめ

安価ながらも必要機能は十分満たしそうな「Windows Mixed Reality」VR機器

「Windows Mixed Reality」の肝となる外部センサーなしでのポジショントラッキングだが、体験してみると想像以上に精度を保っていた。ヘッドトラッキング性能という面において、一般的なVRコンテンツを楽しむ要件は十分に満たせていると思われる。トラッキング品質は想像以上で、今後のVR機器の進化の可能性を十分感じさせてくれる。

モーションコントローラーに関しては不透明な点も多いが、SteamVRのコンテンツを共有できる可能性があるため、「対応している」というだけでVR機器としての価値は上がりそうだ。

必要システム要件が低いため、現在ユーザーが所有しているPCで動作する点は大きい。4万円程度の出費で一定のVR体験が可能になるため、ハードルは一気に下がるだろう。

外部センサー不要という点も、業務用での活用に向いてそうだ。「Windows Mixed Reality」の発売でアミューズメント意外でもVRの活用が加速するかもしれない。

「Windows Mixed Reality」でVRゲーム市場の拡大に繋がるか

「Windows Mixed Reality」はポジショントラッキングに加えて、ルームスケールやモーションコントローラーの採用等、htc VIVEやOculus Riftと共通仕様化を踏まえている。安価なVR機器の発売はPCVR市場全体の拡大にも繋がる。

市場が拡大すれば、現在は参入に消極的なゲームデベロッパーもVRタイトルを展開する選択肢として挙がってくるかもしれない。コンテンツ不足にあえぐVRだけに、「Windows Mixed Reality」の発売はVIVE 、Oculus ユーザーも「ソフトの充実」という形で恩恵を受ける事になりそうだ。

「Windows Mixed Reality」参入で激化するVRハード市場

ソフトメーカーから見ると対応ハードが拡大する事はビジネス的には歓迎すべき事だが、ハードを販売しているメーカーは競争が激化する事を意味する。すでにDELL,ASUS、Lenovo、HPのVR機器の発売が決まっており、PCやスマホで展開しているメーカー群による激戦区となりそうな様相を見せてきた。

「Windows Mixed Reality」は差別化が図りにくいため、コモディティ化が加速しそうだが、VR機器は未だ発展途上の分野だ。性能と価格の競争が行われる事は、消費者視点としては大歓迎である。

VRの一般化を加速させる事が期待される「Windows Mixed Reality」

すでにPCVRを所有しているのであれば、今のところ「Windows MR」機器に買い替える必要はないだろう。パネル解像度の向上は視野角の低下というトレードオフとなっており、そのパネル解像度も飛躍率が低く、殆どのユーザーは気づかないレベルに留まっている。

トラッキングの精度や没入感を踏まえると「htc VIVE」や「Oculus Rift」を本格VR機器と位置づけとすると、「Windows MR」は廉価な入門用VRという位置づけだろうか。

PCVRを未所有であれば4万円から開始できる事を踏まえると、新規購入VR機器の選択肢の1つとなりそうだ。「Oculus Rift」の国内展開・日本語対応が望み薄なので、コスパとサポート重視で「Windows MR」を選ぶのも悪くないかもしれない。

「Windows MR」は価格・必要スペック・販売チャンネルの多面化など、VRの一般化を加速させる事が期待できる。外部センサー不要の構造は設置のハードルも大きく下がる。

追加発売されるハンドトラッキングの精度次第になるが、「Windows Mixed Reality」でVR機器の一般化を加速してくれる事に期待したい。