ハイエンドPCVRのhtc VIVE、Oculus Rift、WindwsMR。コンソールのPSVRと違い、パソコンを用いるため普段自作PCやゲーミングPCに馴染みがないユーザーには購入ハードルが高い。本稿ではSteamVRを楽しむために必要なパソコンや各種VR本体の購入方法をガイドとして記載しておく。
目次
快適に遊ぶための必要なパソコンスペック
VRは一般的なPCより高いスペックを要求される。しかしPCの進化によって価格は低下しており、ハイエンドからミドルレンジと価格帯も広くなってきた。Oculus RiftやWindowsMRの最低必要スペック要件も下げられている。
しかし最低スペックでは快適なVR体験とは言い難い。ここでは快適なVR体験という視点でPCスペックを見ていく。自分の予算と目的にあった適切な選択を行うために各パーツの要点をチェックしておこう。
CPUプロセッサ
・Intel™ Core™ i5-4590、AMD FX™ 8350、または同等クラスのCPU以上
・オススメ:core i7-7700K、core i7-8700K
VRパソコンの中枢となるパーツ。可能な限り高いクロック周波数と4コア以上が望ましい。Kabylakeアーキテクチャの新CPU Core i7-7700Kがベストチョイスだろう。Core i5でも現時点では十分だが、DirectX12を踏まえるとCore i7を選択しておいたほうが末永く利用できる。
CPUはGPUほど進化が早くなく、製品サイクルも長い。可能な限り最新のCPUをチョイスしておけば末永く使えるシステムになる。
CPU世代は第4世代のCore iシリーズ以降であれば基本問題ないが、メモリやチップセットのSSD等のインターフェイス周りで旧式化しており製品寿命は短くなる。また最新のゲームではフレームレートでハンディを背負いつつある。今から購入するなら第7世代がベストだ。
・6コア以上のCore i7とCore i7-8700Kに関して
予算に余裕があればCore i7-6800以降も視野に入ってくるが、コア数の増加と共にクロック周波数が低下してくる。現状VRでは殆ど4コア8スレッド以上利用しないので、ゲームによっては20万円以上するCore i7-6950Xが3万円程度のCore i7-6700Kより低いフレームレートになるケースもある。現時点ではVRゲームはクロックの高い7700Kの方が良いだろう。
しかし最新CPUとなるi7-8700Kであれば、高いシングルスレッドとマルチスレッド性能を両立している。2017年11月以降ならCore i7-8700Kがベストチョイスとなってくると思われる。
・AMD Ryzenに関して
AMDのCPUに関してはRyzenがリリースされているが、今のところゲーム性能の最適化が十分でなく、VRもパフォーマンスを発揮できていない。ソフト側も4コア8スレッド以上を想定してないケースが多く、Core i7-7700Kと比較するとVRで必要になるシングルスレッドの絶対性能で未だ分が悪い。Ryzenに関しては少し様子を見た方が良さそうだ。
グラフィック(GPU)ボード
・NVIDIA GeForce™ GTX 1060、AMD Radeon™ RX 480、または同等クラスのGPU以上
・オススメ:GeForece GTX1070
VRパソコンを選択する上で最も重要なパーツ。進化が早く、価格も変動しやすい。10万円で発売されたパーツが1年後には4万円程度に暴落するのは良くある。自分の予算に応じて選択しよう。基本的には「VR Redy」を謳ったGPUであればVRゲームは問題なく遊べる。
それ以上はどこまで高画質なグラフィックオプションを選択するかによって変わる。コンシュマーゲームと違って、グラフィックボードの変更は容易だ。無理せず必要に応じてアップグレードする事を前提に選択しても良いだろう。
今のところはGTX1070が価格と性能バランスが良いと思われる
↑ベンチマーク上はRX470からVRレディにのるが、パッケージ表記はRX480以上になっている。
・2枚差しのSLIは現時点では殆ど未対応
現時点でSLIやCrossfireに対応したVRゲームは殆どない。少ない対応タイトルも描画パフォーマンスの向上としてではなく、物理シミュレーションのPhysX専用ボードとして割り当てる方法だ。この利用方法はPhysX割当ボードは低いGPUでも十分な効果が得られるため、高価なGPUを2枚差しといった構成は現時点ではVRPCとしてのコストパフォーマンスは低い。
ゲームエンジンの対応も始まっているので徐々にSLI対応も進むが、現時点では2枚購入する金額で上位のシングルGPUをチョイスしておいた方が良いだろう。(SLIが起因するトラブルも多い。)
メモリ・OS・その他
・メモリ:4GB以上 (オススメ:16GB)
最低4GBとなっているが、今後を踏まえると8GBは欲しいところだ。16GBあれば数年は足りなくなる事はないだろう。
・OS:Windows7SP1 Windows8.1 Windows10 (オススメ:Windows10)
Windows7でも動作するが、DirectX12対応のWindows10を強くプッシュしたい。またWindows7は動作トラブルも多い。
・ビデオ出力:HDMI1.4 またはDisplayPort1.2以上
VR Redyのグラフィックボードであれば大抵満たしている。HDMIポートが2つあれば、複数のPCVRを所有した際に便利だが1つでも問題ない。
・USB:USB2.0×1
USB3.0よりUSB2.0に接続した方が安定する。勿論USB3.0にも対応可能だ。
新規にVR対応のPCを購入する場合
新規にVRパソコンを購入する場合、概ね13万円~20万円程度で目的と予算にあった構成を選択する事になる。パソコンはグラフィックボードの換装が可能なため、とりあえず最低限のVRPCを購入し、新しい世代のGPUが発売されたらグラフィックボードだけ乗り換えるのもアリだ。
コストパフォーマンス重視 13万~15万円
通常のVRゲームで十分な画質とフレームレートを維持し、VR「対応」ゲームやヘビーVRタイトルでも画質オプションを調整する事で問題なくプレイ可能なコスパ重視のグレード。ゲーミングとしてはフルHDであれば殆どのタイトルで高画質オプションが可能だ。
・構成例
CPU:Core i7-7700 、GPU:Geforece GTX1060 、メモリ:8~16GB
バランス重視 16万~18万円
通常のVRゲームで高画質オプションでフレームレートを維持し、VR「対応」ゲームやヘビーVRタイトルでも十分な画質でプレイ可能なバランス重視のグレード。このクラスであれば暫くは困ることはない。ゲーミングとしてはフルHDであれば殆どのタイトルで最高画質オプションが可能になってくる。
・構成例
CPU:Core i7-7700、 GPU:Geforece GTX1070、 メモリ:16GB
ハイグレードクラス 20万~25万円
通常のVRゲームで最高画質オプションでフレームレートを維持し、VR「対応」ゲームやヘビーVRタイトルでも高画質でプレイ可能なハイグレードクラス。「内部解像度」を向上させて、更に精細な画質でプレイする事も視野に入ってくる。殆どのVRゲームで困る事はなく、動作に問題があるタイトルはバグに近い。ゲーミングとしては4Kの高解像度が視野に入ってくる。
・構成例
CPU:Core i7-7700K or Core i7-6700、GPU:Geforece GTX1080、メモリ:16GB ~ 32GB
*RenderResolusionを変更する事でハイエンドGPUの性能を発揮できる
既に所有しているPCをアップグレードして利用する場合
既にCore i7の第二世代以上のPCを所有している場合はグラフィックボードをアップグレードすれば、現在のタイトルの大半は問題なく遊べる可能性が高い。ヘビータイトルでもグラフィックオプションを調整する事で遊べる。
Sandy Bridge世代のCore i7-2700K OCやIby Bridge世代のCore i7-3770KなどのCPUを持ったPCを所有しているのであれば、安価なVR Redyグラフィックボードで現在のVRタイトルを堪能し、タイトルが揃ってきてから次世代CPU+GPUに乗り換えるのは悪くない選択と思われる。
コスパ重視GPUのVR Redyグラフィックボードに換装
Geforce GTX1060、Radeon RX580あたりがコスパが良い。RX470OCでもギリギリVRレディだが、ゲームによってはドロップフレームが発生するケースも生まれる。予算に余裕があれば更にGTX1070がベターだが、CPUが足を引っ張って性能が出しきれない可能性が高くなる。
「ProjectCars」などVR専用ではなく対応タイトルを遊ぶ場合は最高性能のVRPCが必要になり、旧世代のCPUではボトルネックになりやすい。高画質設定のVRゲームやVR「対応」ゲームが目的の場合はシステムの一新を検討した方が良いだろう。
自作でVRPCを組み立てる場合
自分好みのパーツで構成できる自作するのもパソコンならではの楽しみ方だ。拘りのコンパクトPCや既製品を超えたスーパーハイグレードモデルなども自由に作れる。
Pascal、Polaris世代の出揃った現在ならGPUにも幅広い選択肢が出来き、柔軟な構成で組み上げる事が可能になってきた。
SteamVR対応VR機器を購入する方法
htc VIVEの場合
htcVIVEは発売初期は海外のサイトから直に購入するしかなかったが、現在は国内販売が正式にスタートしており、店舗、サイト、ネットショップと幅広い購入方法がある。店舗で買えば直接持って帰る事もできる。htc VIVEはかなりの重量なので車以外であれば配送がオススメだ。
店舗で購入する
ツクモやドスパラ、パソコン工房が近くにあれば、直接店舗で購入する事ができる。またVR体験コーナーがある店舗ではhtcVIVEを直接体験してから購入することも可能だ。ただしVR体験は予約制や時間指定制なので事前に対象店舗の下調べは必要になる。
体験ソフトは「The Lab」がオススメ
様々なソフトで体験できるが、基本的には「The Lab」か「The Blu」が良い。グラフィックもPCVRならではのクオリティで楽しめ、最適化も十分行われている。「ルームスケール」、「モーションコントローラー」、「PCならではのグラフィック水準」という重要項目が確認できる。
http://indiegame-japan.com/2016/06/04/post-576/
公式サイトから購入する
htc VIVEの公式ホームページから直接注文できる。htcではなくデジカがストアを運用していおり、日本語対応済み。ただしhtcのアカウントが必要になる。発売時と違い国内発送になっており関税はないが、送料が別途必要になる。
ネットショップから購入する
発売から1年を経てPCVRも国内のネットショップで普通に購入できる用になっている。htcVIVEは正規代理店による販売もあり、公式サイトと変わらない。こちらは価格次第といったところだろうか。
Oculus Riftの場合
Oculus Riftは日本で展開されておらず公式サイトから直接購入するしか方法はない。一応amazonなどのネットショップでも購入できるが、価格次第といったところだろうか
公式サイトから購入する
上記の公式サイトから購入できる。日本語に対応しているが、海外から輸入される形式なのでJCBなどの国内用クレジットカードの場合は決済トラブルに巻き込まれやすい。PaypalかVISAなどの利用が無難だろう。
Windows MRの場合
Window Mixed Reality対応のVR機器の場合、多種多様なメーカーから発売されるため、メーカー毎に変わる。現時点で国内購入可能なAcer(エイサー)製のVR機器は、国内の電化製品店やネットショップで簡単に購入できる。
購入後のセッティング・VRゲームソフト等
htc VIVEはルームスケールを実現するためのベースステーションのセッティングが必要になる。一度セッティングしてしまえば終わりだが、初回は多少の工夫が必要になってくる。
セッティングのポイントや各種ノウハウ・トラブル対応事例、SteamVRのソフト情報を以下に纏めている。何らかの参考になれば幸いだ。